2005年10月25日

容疑者 室井慎次



もーーーーーーーーーーっのすごく今更ですが、観てきました。
観てきましたのですが、うーん、これはすごく評価のしにくい映画でした。

お話はもう、大変室井らしく、徹頭徹尾地味ーな、静かーなお話でした。
お話を作る側として、これはすごく楽しい企画だな、と、そういうことはすごく分かったんですけど、うーん、その「楽しさ」にうまくノレなかったんですね。

以下ネタバレ感想。

私、「踊る」シリーズの中で一番好きなキャラは室井でして、それだけに楽しみにしてたんです。ですけど、ぶっちゃけ、思ったより萌えなかった(笑)。
いや、萌えが必要な話じゃないんですけど、なんだろう、この、最初にドラマの1話目を見てから今までの間という時間の経過があって、ある程度「踊る」に対して冷めてしまってて、特に室井に対する燃えの感情が冷めてしまってて、それが原因なのかなあと思います。

それで、じゃあ全く面白くないのかというとそうも言い切れなくて、じんわりじんわりとくるものがある。それは例えば、室井という人物を間に置いた一倉と新城の関係だったりとか、津田弁護士事務所の2人だとか、灰島の最後の言葉だとか、そういうところにちらりちらりと引っかかる所があるわけです。

えーと、少し詳細にいってみましょう。
まず室井。主役で、しかも人物を掘り下げる話の主人公になったために、彼の色々を掘り返していかれてました。かつて恋人を殺したんだといわれ、激昂するシーンにはどきりとしました。室井と人殺し。およそ似合わないと言うか、意外すぎて、でもほんとにありそうな話かも、と疑っちゃう、驚きの過去話でした。
てか、「踊る」シリーズってこういう風に過去を明るみにすることないじゃないですか。それがこんな形でなされたことがなんていうか、驚きです。
でも、その驚きの過去の真相を語るシーン。思ったより胸に迫ってこなかったんですね。たぶん泣かせどころだったと思うんだけど。ふだんアニメだゲームだばっかり見てるせいか、実写の(笑)人物の表情に対するアンテナが鈍いなぁと我ながら思うこと多いわけですが、なんか今回それがでちゃったなぁと。逆に、確かに深刻な話なんだけど、それで泣く田中麗奈が泣きすぎに見えたりする。そこまでの話か?というか、ぬー、ぽろぽろ泣かれてかえって冷めちゃいました。
でも逆に、田中麗奈が去った後、残された日記に手をやる、ここはすごくよかった。日記の感触まで伝わってくる気がしました。

田中麗奈。最初は小動物系可愛い子と言う感じで見てたのですが、強かったり弱かったり、印象が一定しなくてなんだかなぁと。そういう狙いだったみたいで、しかし見ててそれがうまく消化できなくて困りました。
こういうキャラ自体は嫌いじゃないんだけど、すみれさんが気になってなー。素直に見られなかったですよ。

新城は一倉とペアで面白かったです。てか新城も一倉も偉くなってるなー。室井思い切りおいてけぼりくらってますね。
いつの間にか二人が真反対の陣営に属してて驚きました。元からそうだったかもしれないんでアレなんですが。
この2人にとっての「室井」ってのが面白いです。どちらにとっても試金石なんですよね。上に行きたいと言う気持ちは同じ。ただその時にどういう価値基準で生きていくことにするか。そういう試金石。
2人とも室井のやり方にいらつくのは、彼が常に「正しい」ことを貫こうとするから。本心としては、どちらも室井と言う人を切り捨てたくないんでしょう。けれどもそうもいってられない現実がある。それに切実な話、上を目指すならどこかで誰も彼もを追い落とさなければならない。
どこまで本当だか知りませんが、どこぞの省庁では同期のキャリアでひとり飛びぬけたら残りは退職しなきゃいけないんだそうですね。窓際はありえない。すごい話です。
一倉は室井を切り捨てる道を選び、新城は切り捨てない道を選びました。最終的にどうなるのか楽しみです。

灰島弁護士。この人面白いなぁと思いました。
映画見終わってすぐに映画のシナリオ本を買いました。それに、各キャラについて、簡単なプロフィールが載ってたんですけど、その経歴から想像する人物像と最後の台詞がどうもかみあわない。勝ちたい、という気持ちとお金がいまいち結びつかないんです。この人は結局マザコン坊やなわけじゃないですか。それがどうして金のためならどんな手でも使う人になるんだか。単純に成功の象徴なのかなぁ。
八嶋智人は好きな俳優なんで、この人(っていうか灰島弁護団)が出てくるときに専用の音楽があって嬉しかったです。舞台俳優さんだそうで、ふだんはもっとクセのある演技を披露しまくってますよね。あのアクが好きだったんで、今回おとなしくてちょっと残念でした。

最初の話しに戻ってしまうんですけど、スピン・オフ第一弾の真下はもう、あれはエンターテイメント作品です。争点もはっきりしてて、時間制限があって、謎があって、コメディもラブもある。それらが盛り上がって盛り上がってぐわーっとラストまでいく。息もつかせぬパニックムービーですごく「面白かったー!」って思えます。
対して室井は、じっくりじっくりの人間ドラマ。画面もテンポもおさえにおさえてて、そもそもノって観るものじゃない。だから一概にどちらの方が面白かった、という比べ方はしたくないんですが……。
もう一歩、何かどこかで踏み込んで欲しかったように思います。たくさんの興味深い人間がいて、いろいろに色んなものを抱えてて、それらが室井という触媒を経ていろいろに変容したりしなかったり。面白いし興味深いんだけど、なにか表面だけをさらった印象がぬぐえないわけです。もう一歩心に響かない。それが残念でした。もう一回観たら印象変わるかな。

関連書籍。



小説容疑者室井慎次
君塚 良一脚本 / 多田 洋一ノベライズ


posted by ちく at 20:23 | Comment(0) | TrackBack(0) | 映画
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