2008年06月20日

烙印の紋章 たそがれの星に竜は吠える 杉原智則〔著〕

烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫 す 3-15)烙印の紋章―たそがれの星に竜は吠える (電撃文庫 す 3-15)
杉原 智則


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ワーズ・ワースの放課後」の後、「てのひらのエネミー」「レギオン」と、実験的な物語をやってみたり、かと思えば「殿様気分でHAPPY!」のような『いかにも萌え系』に原点復帰?してみたり、「エウレカセブン」のノベライズをやってみたり、と、「この先どうなるんだろう?(作品の方向的な意味で)」とやきもきしつつ待ってた(?)作者が、今度は超正統派な物語で攻めてきました。
……のわりに、感想が遅いことはお許しを。

◇あらすじ
メフィウスの少年オルバは、隣国ガーベラとの戦闘に巻き込まれ、家族や故郷を失い、果てに絶対外れない仮面をつけられ剣闘奴隷に堕されながらも、すでに2年生き延びていた。
そのオルバの元に、ある日フェドムという貴族が現れ、いきなりオルバを買い取ってしまった。実はオルバはメフィウスの皇子ギルに良く似ており、そのギルが頓死したために身代わりに仕立てられたのだ。フェドムの勢力争いの駒として。

最初こそ戸惑ったオルバだったが、やがて自分のうちに巣食っていたある野望を叶えるチャンスだと気づく。それは、ガーベラ軍の仕業に見せかけてオルバの故郷を焼いたメフィウスの将軍オーバリーへの復讐だった。
オルバは、メフィウスの第一皇子という身分と、もと剣闘奴隷の経験と人脈、和平の証としてギルに嫁いでくることになったガーベラの皇女ビリーナとを自らの駒として、野望を叶えるための第一歩を踏み出す。

◇感想
骨太で面白い、です。
正統派な話のためか、安心して読めました。

まずオルバが魅力的です。
ほんの子供でありながら、剣闘奴隷として2年も生き延びてこれた剣の腕をもち、その一方で文字を解し、書をたしなむ。
もしかして剣闘奴隷に落とされる前は相当な名のある貴族の息子だったりしたのかな、と思ったら、そんな『衝撃の』過去はなくて田舎の村の農民の出身。ただし、けんかっぱやく、そのわりに勝つための算段を整える冷静さや粘り強さや頭のよさも持ち合わせている。
そんなオルバが周囲の目を欺きつつ手札を増やし、自分の望みを叶えようとしていくんだから、魅力的でないわけがないです。

あらすじではあえてオルバ少年の側だけをとりあげましたが、もう一方の主役であるビリーナ姫の側もかなりな人物でした。
まずおてんばで破天荒。だけど純粋に皇族として育ったせいか、曲がった所がなく一本気。そして命の危険があっても自力で切り抜けようとする胆力がある。皇族としての矜持ももちろん。
……二人とも出自が出自だけに、早く大人にならなければならなかった所は一緒なのに、顔を合わせるとなぜか年相応というか、「まるで竜舎にはじめて連れてこられた子供の竜同士が、ぎゃあぎゃあと喧嘩騒ぎを起こしているかのよう」になっちゃうのが萌え。

主人公格のキャラが二人ともかなりアグレッシブな性格であること、また舞台も戦乱の世であることから、全体に血なまぐささの絶えない物語なのですが、それが逆に原始的な興奮を呼び覚まされる心地がします。ていうか面白い。

奴隷出身でありながら武術も知略も持ち合わせたオルバがどこまで生き延びられるか、そんなオルバと接するビリーナがいつ真相に気づくのか、そして気づいた時どうするのか、先が楽しみです。……続くよね?
posted by ちく at 23:41 | Comment(0) | TrackBack(1) | ライトノベル
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烙印の紋章2 陰謀の都を竜は駆ける 杉原智則〔著〕
Excerpt: 元剣闘奴隷オルバが、大国メフィウスの皇子ギルにすりかわり、己の復讐を達成すべく周囲に策略を仕掛けていくシリーズの2作目です。
Weblog: 雑文書庫
Tracked: 2010-03-21 03:40